【銘柄分析】スリーエフ(7544)|かつての中堅コンビニ復活なるか

こんにちは。相場の養分かもねぎ(@kamonegi_kabu)と申します。

みなさまは「スリーエフ」というコンビニをご存じでしょうか?

スリーエフは、かつて神奈川県を中心に展開していたコンビニチェーンであり、最盛期には600店を超す店舗数を有していたものの、他社との激しい競争に付いていくことが出来ず、2018年に単独ブランドとしての展開を断念しました。

参考:横浜生まれスリーエフ、「単独店消滅」の黄昏(東洋経済ONLINE)

現在は、資本提携を行ったローソンとの間で株式会社エル・ティーエフという合弁会社(出資率51%)を設立し、自社の残存店舗網を合弁会社に譲渡したうえで、ローソンブランド(「ローソン・スリーエフ」)を営業しています。

ローソン・スリーエフの店舗イメージ

以下は、過去10年間の損益推移と株価チャートとなります。

出典:GMOクリック証券

業績は大不振です…




株価も10年近く右肩下がりを続けています…


僕は関東民なのでスリーエフには少しだけ愛着があるのですが、なんだか見てるだけで悲しくなりますね……


しかし、ちょっと待ってください!!


様々な角度から現在のスリーエフを調べてみると、ローソンブランドへの転換等を通じて変化が生まれており、足元では投資妙味も感じました。

そこで、頭の整理も兼ねてブログにまとめてみたいと思います。

スリーエフ(7544)の資産価値を見てみましょう

まずは同社の資産価値から。

スリーエフのBSを見ると、自己資本比率は80%超と安定しているとともに、現金及び預金を36億円保有していることが分かります。


一方で、現在の時価総額は27億円しかありません。スリーエフ(7544)の市場価値は、保有しているキャッシュの3/4しかないと判断されている状況です。

これはキャッシュフローが継続的にマイナスであり、資産価値が年々減少していくことを織り込んでいる株価と言えます。

では、同社の事業価値はそれほどまでに悪化しているのでしょうか。

スリーエフ(7544)の事業価値を見てみましょう

現在のスリーエフは、合弁会社を通じて「ローソン・スリーエフ」ブランドのコンビニ(355店)を東京・神奈川・千葉・埼玉の一都三県で展開しています。

まずは、決算短信で業績の概要を確認します。

スリーエフは、2018年2月期の第2四半期から2019年2月期の第1四半期にかけ、既存店舗の「ローソン・スリーエフ」ブランドへの転換、対象外店舗の閉鎖等を実施し、当該期間の業績は大幅に落ち込んでいます。

このため、18年2月期は営業損益ベースで▲30億円の赤字を計上することとなりましたが、この悪影響が薄まる19年2月期には▲3億円の営業赤字へと改善しました。

ただし、19年2月期も改装店舗に係る販促経費といった一時費用が発生しており、業績を押し下げています。


ブランド転換にはかなりの先行費用が発生したことが見てとれますが、果たしてどの程度の効果が得られたのでしょうか?
19年2月期決算補足資料よりかもねぎ作成

コンビニエンスストアの競争力を測る際には、1店舗・1日当たりの平均売上高である「平均日販」が用いられます。

スリーエフ時代の平均日販は42万円となっており、60万円台のセブンイレブン、50万円台のローソンやファミリーマートに大きく見劣りする数値でした。

しかし、ローソンブランドへ転換した19年2月期には、平均日販はローソン並みの52万円に改善。転換前と比較すると+25%もの大幅な増収となった計算です。
いやぁ、看板を代えるだけで劇的に変わるものなんですねー


このような店舗競争力向上もふまえて、来期の業績は黒字転換&復配を果たす計画となっています。

まとめ

さて、スリーエフの資産価値と事業価値をざっと眺めてみました。

現状の株価だと、首都圏で350店超のローソンを運営する企業が実質タダで買収でき、おまけに数億円のキャッシュが付いてくる水準に見えるんですよね。

ただ、黒字転換するといってもPERでは26倍ほどと決して割安ではありませんし、そもそも想定通りに黒字化できるかも不透明です。
また、合弁会社の連結決算への取込み等、精査できてない部分もあります。多分、現預金の過半は子会社にあるので自由にならないと思うんですよね。

取りあえず優待目当てで単元を買いつつ、もう少し調査をしようかなと思っています。

本ブログ内で銘柄分析を行った企業の一覧を作成しました。


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