こんにちは。相場の養分かもねぎ(@kamonegi_kabu)と申します。
保有銘柄の紹介と情報の整理を目的として、今回は医療機器メーカーのフクダ電子(6960)の銘柄分析を行います。
フクダ電子は、日本で最初の国産心電計を製造した伝統ある医療機器メーカーであり、現在も心電計では国内トップシェアを有しています。
それだけを聞くと「研究開発力に優れた技術志向のメーカー」という印象を受けるところですが、同社は実態としては営業に強みを持つ企業であり、商社的な取引により業績を伸ばしている点に特徴があります。
同社の事業は大きく4つに区分されています。
・心電計を中心とする生体検査装置部門(30.5%)
・心電図モニタを中心とする生体情報モニタ部門(7.5%)
・AEDやペースメーカー、在宅医療機器を扱う治療装置部門(38.7%)
・機器消耗品、保守サービスから成る消耗品等部門(23.3%)
ここでは、上記の4事業を「(1)ストックビジネスかどうか」「(2)自社製品から仕入商品か」という二つの切り口で掘り下げてみたいと思います。
売上の見通しが立ちやすく、顧客と密接な関係を築きやすいため、一般に質の良い収益とみなされます。
フクダ電子の事業のうち、全体の1/4を占める「消耗品等部門」は、まさにストックビジネスですね。
また、主力の「治療装置部門」では、在宅医療用機器のレンタル事業を全国で展開しています。(子会社のフクダライフテックを通じて)
これも収益が継続的に発生するストックビジネスと言えそうです。
以上の点から、売上のうち3割~4割は"ストックビジネス"に該当するだろうと考えております。
フクダ電子の沿革を見ると、国産初の心電計の開発に成功したのちには、全国に営業・アフターサービス拠点を整備し、その後、独シーメンスや蘭フィリップス製品の拡販を図ってきた歴史があります。
また、仕入商品の比率が大きいことが影響していると思われますが、売上高に占める研究開発費の比率も、競合他社に比べて低いです。
前期決算を見ると、フクダ電子の売上高研究開発費率は2.0%ですが、競合の日本光電は4.1%となっています。
現在のフクダ電子は、どちらかと言えば開発面より営業面にエッジを持っている企業と言えそうです。
数値は各年度の有価証券報告書における「主要な経営指標の推移」を拾いました。
2006~2008年頃に少々苦戦した時期はありますが、売上・利益ともに右肩上がりで伸びて来ています。
自社株買いの実施により、当期利益の成長<EPS(一株当たり利益)の成長となっている点も注目すべきです。
また、フクダ電子の持つ全国に張り巡らされた営業・サービス網にも一定の価値があるように思われます。
医療機器卸は、医薬品卸と比べると細分化されており、全国をカバーする大手企業が少ないと言われます。
国内市場で製品を販売したいが、流通ルートを持たない企業から見た際に、フクダ電子は非常に頼りになる「販売代理店」なのではないでしょうか。
・業績の安定性 〇
・経済上の堀 有(狭)
ここ数年、研究開発費を絞って利益を計上していたように見受けられますので、数値を作るよりも地盤を固めていくというスタンスなのかもしれません。
自分は成長よりも安定感を重視する投資家ですが、そういう人間から見ても、うーん…という感じです。
大きな成長には期待できません。
・予想PER 11.46倍
・実績PBR 0.91倍
・予想配当利回り 2.45%
同業他社の日本光電(6849)のPERが26倍を超えていることと比べれば割安感があり、キャッシュリッチ・自己資本も厚いことから、下振れリスクは確実に小さいです。
かもねぎファンドとしては、現状の利益率と緩やかな成長ペースが維持でき、定期的に自社株買い(または増配)を実施してくれるのであれば、投資妙味は十分あると判断しています。
なお、投資は自己判断でお願いいたします。
(参参書籍・URL)
・「フクダ電子 技術力があるにもかかわらず海外医療機器の独占販売に依存」
・『心電計と歩んだ半世紀 フクダ電子創業50年史』
本ブログ内で銘柄分析を行った企業の一覧を作成しました。
保有銘柄の紹介と情報の整理を目的として、今回は医療機器メーカーのフクダ電子(6960)の銘柄分析を行います。
フクダ電子は、日本で最初の国産心電計を製造した伝統ある医療機器メーカーであり、現在も心電計では国内トップシェアを有しています。
それだけを聞くと「研究開発力に優れた技術志向のメーカー」という印象を受けるところですが、同社は実態としては営業に強みを持つ企業であり、商社的な取引により業績を伸ばしている点に特徴があります。
1.企業概要
はじめにフクダ電子の2018年3月期決算における部門別の概況を確認しましょう。出典:2018年3月期 フクダ電子 事業報告書 |
同社の事業は大きく4つに区分されています。
・心電計を中心とする生体検査装置部門(30.5%)
・心電図モニタを中心とする生体情報モニタ部門(7.5%)
・AEDやペースメーカー、在宅医療機器を扱う治療装置部門(38.7%)
・機器消耗品、保守サービスから成る消耗品等部門(23.3%)
ここでは、上記の4事業を「(1)ストックビジネスかどうか」「(2)自社製品から仕入商品か」という二つの切り口で掘り下げてみたいと思います。
(1)ストックビジネスかどうか
ストックビジネスとは、顧客を囲い込み、持続的にサービスを提供しながら長期的に収入を上げていく事業を指します。売上の見通しが立ちやすく、顧客と密接な関係を築きやすいため、一般に質の良い収益とみなされます。
フクダ電子の事業のうち、全体の1/4を占める「消耗品等部門」は、まさにストックビジネスですね。
また、主力の「治療装置部門」では、在宅医療用機器のレンタル事業を全国で展開しています。(子会社のフクダライフテックを通じて)
これも収益が継続的に発生するストックビジネスと言えそうです。
以上の点から、売上のうち3割~4割は"ストックビジネス"に該当するだろうと考えております。
(2)自社製品と仕入商品の比率
売上データが直接開示されているわけではないのですが、フクダ電子の特徴としては、自社製品よりも他社からの仕入商品の比率が大きいことが挙げられます。フクダ電子の沿革を見ると、国産初の心電計の開発に成功したのちには、全国に営業・アフターサービス拠点を整備し、その後、独シーメンスや蘭フィリップス製品の拡販を図ってきた歴史があります。
また、仕入商品の比率が大きいことが影響していると思われますが、売上高に占める研究開発費の比率も、競合他社に比べて低いです。
前期決算を見ると、フクダ電子の売上高研究開発費率は2.0%ですが、競合の日本光電は4.1%となっています。
現在のフクダ電子は、どちらかと言えば開発面より営業面にエッジを持っている企業と言えそうです。
2.財務分析
(1)財務数値
まず、フクダ電子の過去の業績推移を確認します。数値は各年度の有価証券報告書における「主要な経営指標の推移」を拾いました。
2006~2008年頃に少々苦戦した時期はありますが、売上・利益ともに右肩上がりで伸びて来ています。
自社株買いの実施により、当期利益の成長<EPS(一株当たり利益)の成長となっている点も注目すべきです。
(2)収益性
①定性分析
医療機器の販売は、製品を納品して終わりではなく、消耗品や保守サービスの提供といったアフターサービスが継続的に発生します。このような取引は、価格競争に陥ることが相対的に少なく、収益性を維持しやすいと考えられます。また、フクダ電子の持つ全国に張り巡らされた営業・サービス網にも一定の価値があるように思われます。
医療機器卸は、医薬品卸と比べると細分化されており、全国をカバーする大手企業が少ないと言われます。
国内市場で製品を販売したいが、流通ルートを持たない企業から見た際に、フクダ電子は非常に頼りになる「販売代理店」なのではないでしょうか。
②経済上の堀(Economic Moat)
上記の定性分析から、フクダ電子の事業には、「無形資産(営業・サービス網)」と「乗り換えコスト」という経済上の堀(Economic Moat)を有していると考えられます。③評価
・収益力の高さ △・業績の安定性 〇
・経済上の堀 有(狭)
(3)成長性
現在、フクダ電子が公表している中期経営計画は以下の通りで、3年後に売上高で1,320億円(前期比+2.4%)、営業利益で126億円(前期比+2.1%)を目指すまったく意欲的でない計画となっています。出典:2018年3月期 決算報告書 |
ここ数年、研究開発費を絞って利益を計上していたように見受けられますので、数値を作るよりも地盤を固めていくというスタンスなのかもしれません。
自分は成長よりも安定感を重視する投資家ですが、そういう人間から見ても、うーん…という感じです。
大きな成長には期待できません。
3.まとめ
最後に、現時点(2019/1/11)のフクダ電子の株価指標を確認します。・予想PER 11.46倍
・実績PBR 0.91倍
・予想配当利回り 2.45%
同業他社の日本光電(6849)のPERが26倍を超えていることと比べれば割安感があり、キャッシュリッチ・自己資本も厚いことから、下振れリスクは確実に小さいです。
かもねぎファンドとしては、現状の利益率と緩やかな成長ペースが維持でき、定期的に自社株買い(または増配)を実施してくれるのであれば、投資妙味は十分あると判断しています。
なお、投資は自己判断でお願いいたします。
・「フクダ電子 技術力があるにもかかわらず海外医療機器の独占販売に依存」
・『心電計と歩んだ半世紀 フクダ電子創業50年史』
本ブログ内で銘柄分析を行った企業の一覧を作成しました。
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