こんにちは。相場の養分かもねぎ(@kamonegi_kabu)と申します。
僕が株式投資を始めたのは2010年のことで、今年でちょうど10年目を迎えます。
投資スタイルはバリュー投資。すなわち、株価が企業価値を下回っていると思われる銘柄を購入し、割高と思われる水準になれば売却するという単純な方法を続けてきました。
過去の投資成績はこちらの記事もご参照ください。
今回は、これまでの経験をふまえて、長期投資に適した銘柄の選定方法をまとめてみたいと思います。
自分自身の考えの整理も兼ねた内容ですが、投資スタイルに悩まれている投資家の方にとって、少しでも参考になれば幸いです。
目次
1.長期投資の意味
2.銘柄選定の2つのポイント
(1)ROEが安定的に高いこと
(2)PERが低いこと
3.具体的な事例
4.まとめ
(1)ポイントのおさらい
(2)今から買える銘柄は?
本記事において「長期投資」とは、以下のような意味で使用します。
・保有期間は少なくとも3~5年間、事業が順調であるならば10年、20年と保有を続けること
・企業の本質的価値の向上に伴ってリターンを得ること
1点目は株式の保有期間についてです。これは企業が順調である限りできるだけ長く保有することが望ましいと考えます。
米国の大投資家ウォーレン・バフェットは「私の好きな保有期間は永遠だ」と公言していることで有名です。
バフェットの言う通り、投資の際は売却せずに保有を続けることが理想です。なぜならば、含み益を実現した場合には税金が発生するからです。
現在の日本では、株式の譲渡益に対して20%の所得税が発生し、利益を確定するたび長期的なリターンを押し下げます。
2点目は、リターンの源泉についてです。これは企業の本質的な価値の向上によりリターンを得ることとします。
株式市場には色々な参加者がおり、一時的な材料(ニュース)によって株価が大きく高騰することもあります。このような変動で利益を得られる場合もありますが、長期投資の目指すところには反していると考えます。
企業の利益成長か資産価値の向上、このいずれかによるリターンを目指します。
ポイントを挙げようと思えばいくらでも出てきますが、ここではあえて重要な点に絞ります。
ズバリ「ROEが安定的に高いこと」と「PERが低いこと」の2点です。
ROEが安定的に高いというのは、単純なことに見えますが、以下の通り重要な意味を持ちます。
①競合他社に対する強み(堀)を持っている
資本主義経済では、儲かる商売には新規参入企業がやって来て、次第に競争が激しくなり利益率も下がっていきます。
一方、ROEを高水準で維持できる企業は、そのような競合企業に負けない競争優位性を持っている傾向があります。技術力やブランド力、取引ネットワーク、顧客への食い込み等…なんらかの参入障壁を持っているため、長い間、利益率を維持できるのです。
②利益(内部留保)を高いリターンで再投資できている
企業は利益を得ると、一部を株主に配当等として還元し、残りは内部留保として株主資本に組み入れ、事業の拡大に使用します。
ROEは「当期利益÷株主資本」として計算しますので、利益が増えず内部留保だけが増えれば、ROEの数値は下がります。
逆にROEを高水準で維持できる企業は、内部留保を高い利益を得られる事業に再投資でき、成長を続けているということを意味します。
どんなに素晴らしい企業であったとしても、割高な価格で購入してしまった場合、投資家が得るリターンはよくて平凡、悪ければ市場平均を下回ることになります。
従って、良い会社を適正な価格、できれば割安な価格で購入することが重要になります。
すべて実例になりますので、どれくらいの水準で株式を購入すれば利益を得られるか、一つの目安になるのではと思います。
ステップ(9795)は、神奈川県を地盤として学習塾を運営する企業です。高い進学実績を武器に口コミを中心に生徒を集められ、競合他社よりも生徒獲得コストが低いことを強みとしています。
過去の業績は以下の通りです。
注目して頂きたいのは、ROEの安定感です。
過去18年間、継続して10%前後の数値を維持できていることが分かります。
これは、同社が競争優位性を持ち、利益を一定の収益率で再投資し続けていることを意味します。毎年の成長は緩やかですが、長い目で見ると安定的に成長もしてますね。
かもねぎは、2011年2月に同社株を購入しました。(途中で買い増しをしているので、取得価格は変動しています。)
購入時の株価は518円、PERは7.8倍、ROEは9.2%です。
この期間、同社の利益が7割ほど伸びたこと、PERが割安圏から適正水準に移行したことで、株価は1,226円と2.4倍ほどになりました。
ちなみに、僕は同社株を購入して以降、ほぼ放置しています。
年1回優待と事業報告が送られてきた際、「おっ、今年の業績はこんな感じか」と確認する程度でしょうか。
ROEが安定している銘柄に割安圏で投資をすると、少ない手間でまずまずのリターンを得られることがお分かり頂けたと思います。
業態的に景気の変動を受けるものの、ROEは2桁の水準で安定しています。
かもねぎは2011年4月に同社株を購入しました。(途中で買い増しをしているので、取得価格は変動しています。)
購入時の株価は1,328円、PERは6.3倍、ROEは14.1%です。
1社目のステップと比べると、PERの水準は同じくらいですが、ROEの水準が+4~5%ほど高くなっています。
内部留保を再投資すると複利の効果で企業価値が拡大していきます。年率4~5%の差が積み重なると、意外と大きな差が付くようですね。
かもねぎは2011年3月に同社株を購入しました。(所得税が10%から20%に上がるタイミングで一度換金しているので、取得価格は変動しています。)
購入時の分割調整後の株価で159円、PERは5.6倍、ROEは18.8%です。
利益はこの期間2.7倍に成長しており、先ほどのトランコムよりも伸び率が少々大きくなっています。
更に、PERの水準がバリュー株からグロース株のそれに切り上がりまして、5.6倍から25.97倍にまで上がっています。
結果として株価は2,000円と12.5倍ほどになりました。
いや、まさかこんなに化けるとは…上昇途中で一部売却してしまったのが悔やまれる……
良い株を割安圏内で購入できた場合、株式市場の評価の変動で、企業価値の向上以上に大きなリターンを得られる可能性もあるとお分かり頂けると思います。
もちろん、これ以外の手法もあると思いますが、再現性や適用範囲の広さで言えば、上記が最も重要なポイントであると考えます。
ただし、このようなアイデアは決して僕のオリジナルではなく、ウォーレン・バフェット、チャーリー・マンガー、ジョエル・グリーンブラッド等の著名な投資家を参考としたものになります。
正直、難しいです。
2011年頃のレベルで高ROE、低PERである銘柄を探すと、今の環境だと大東建託(1878)や東建コーポレーション(1776)辺りの不動産銘柄が目につきます。
しかし、これらの業界は、今まさに市況の下降局面に入っており、中々買いを入れ難いところです。
カカクコム(2371)やZOZO(3092)のような大型グロース株は、ROEが40%を超えているのに対してPERは20倍台前半であるため、もしかすると妙味があるのかもしれません。しかし、個人的にPERが20倍を超える銘柄はちょっと買い難いです。20倍を割るようなら、競争力の持続性を勘案しながら検討してみても良いかもしれません。
かもねぎとしては、次善の策として、
①過去のROEが安定しており相対的に割安な企業
②上場して間もない企業の中で、ビジネスモデル的に安定感のありそうな企業
③事業の組み換えによって安定的に高収益を得るメドが付いている企業
といった辺りを監視・購入しているところです。
なんだか中途半端なオチになってしまいましたね。申し訳ありません。
それではまた。
僕が株式投資を始めたのは2010年のことで、今年でちょうど10年目を迎えます。
投資スタイルはバリュー投資。すなわち、株価が企業価値を下回っていると思われる銘柄を購入し、割高と思われる水準になれば売却するという単純な方法を続けてきました。
過去の投資成績はこちらの記事もご参照ください。
今回は、これまでの経験をふまえて、長期投資に適した銘柄の選定方法をまとめてみたいと思います。
自分自身の考えの整理も兼ねた内容ですが、投資スタイルに悩まれている投資家の方にとって、少しでも参考になれば幸いです。
目次
1.長期投資の意味
2.銘柄選定の2つのポイント
(1)ROEが安定的に高いこと
(2)PERが低いこと
3.具体的な事例
4.まとめ
(1)ポイントのおさらい
(2)今から買える銘柄は?
1.長期投資の意味
本記事において「長期投資」とは、以下のような意味で使用します。
・保有期間は少なくとも3~5年間、事業が順調であるならば10年、20年と保有を続けること
・企業の本質的価値の向上に伴ってリターンを得ること
1点目は株式の保有期間についてです。これは企業が順調である限りできるだけ長く保有することが望ましいと考えます。
米国の大投資家ウォーレン・バフェットは「私の好きな保有期間は永遠だ」と公言していることで有名です。
バフェットの言う通り、投資の際は売却せずに保有を続けることが理想です。なぜならば、含み益を実現した場合には税金が発生するからです。
現在の日本では、株式の譲渡益に対して20%の所得税が発生し、利益を確定するたび長期的なリターンを押し下げます。
2点目は、リターンの源泉についてです。これは企業の本質的な価値の向上によりリターンを得ることとします。
株式市場には色々な参加者がおり、一時的な材料(ニュース)によって株価が大きく高騰することもあります。このような変動で利益を得られる場合もありますが、長期投資の目指すところには反していると考えます。
企業の利益成長か資産価値の向上、このいずれかによるリターンを目指します。
2.銘柄選定の2つのポイント
ズバリ「ROEが安定的に高いこと」と「PERが低いこと」の2点です。
(1)ROEが安定的に高いこと
ROE(株主資本利益率)とは、企業が株主資本をどれだけ活用して利益を生み出したかを表わす指標です。当期利益÷株主資本と計算します。ROEが安定的に高いというのは、単純なことに見えますが、以下の通り重要な意味を持ちます。
①競合他社に対する強み(堀)を持っている
資本主義経済では、儲かる商売には新規参入企業がやって来て、次第に競争が激しくなり利益率も下がっていきます。
一方、ROEを高水準で維持できる企業は、そのような競合企業に負けない競争優位性を持っている傾向があります。技術力やブランド力、取引ネットワーク、顧客への食い込み等…なんらかの参入障壁を持っているため、長い間、利益率を維持できるのです。
②利益(内部留保)を高いリターンで再投資できている
企業は利益を得ると、一部を株主に配当等として還元し、残りは内部留保として株主資本に組み入れ、事業の拡大に使用します。
ROEは「当期利益÷株主資本」として計算しますので、利益が増えず内部留保だけが増えれば、ROEの数値は下がります。
逆にROEを高水準で維持できる企業は、内部留保を高い利益を得られる事業に再投資でき、成長を続けているということを意味します。
(2)PERが低いこと
PER(株価収益率)とは、企業の生み出す利益に対して株価がどの程度の水準であるかを表わす指標です。どんなに素晴らしい企業であったとしても、割高な価格で購入してしまった場合、投資家が得るリターンはよくて平凡、悪ければ市場平均を下回ることになります。
従って、良い会社を適正な価格、できれば割安な価格で購入することが重要になります。
3.具体的な事例
それでは、具体的な事例をいくつか見てみたいと思います。すべて実例になりますので、どれくらいの水準で株式を購入すれば利益を得られるか、一つの目安になるのではと思います。
(1)ステップ(9795)
まずは、「ROEが安定的している」企業のパワーを見てみます。ステップ(9795)は、神奈川県を地盤として学習塾を運営する企業です。高い進学実績を武器に口コミを中心に生徒を集められ、競合他社よりも生徒獲得コストが低いことを強みとしています。
過去の業績は以下の通りです。
注目して頂きたいのは、ROEの安定感です。
過去18年間、継続して10%前後の数値を維持できていることが分かります。
これは、同社が競争優位性を持ち、利益を一定の収益率で再投資し続けていることを意味します。毎年の成長は緩やかですが、長い目で見ると安定的に成長もしてますね。
かもねぎは、2011年2月に同社株を購入しました。(途中で買い増しをしているので、取得価格は変動しています。)
購入時の株価は518円、PERは7.8倍、ROEは9.2%です。
この期間、同社の利益が7割ほど伸びたこと、PERが割安圏から適正水準に移行したことで、株価は1,226円と2.4倍ほどになりました。
ちなみに、僕は同社株を購入して以降、ほぼ放置しています。
年1回優待と事業報告が送られてきた際、「おっ、今年の業績はこんな感じか」と確認する程度でしょうか。
ROEが安定している銘柄に割安圏で投資をすると、少ない手間でまずまずのリターンを得られることがお分かり頂けたと思います。
(2)トランコム(9058)
次に、利益率や成長性がもう少し高い銘柄として、物流会社であるトランコム(9058)の事例を見ます。業態的に景気の変動を受けるものの、ROEは2桁の水準で安定しています。
かもねぎは2011年4月に同社株を購入しました。(途中で買い増しをしているので、取得価格は変動しています。)
購入時の株価は1,328円、PERは6.3倍、ROEは14.1%です。
この期間、同社の利益が2.1倍ほどに伸びたこと、PERが割安圏から適正水準に移行したことで、株価は5,750円と4.3倍ほどになりました。もちろん配当は別途です。
買値ベースでみると、現在のPERは3倍、配当利回りは6.6%くらいですね。
内部留保を再投資すると複利の効果で企業価値が拡大していきます。年率4~5%の差が積み重なると、意外と大きな差が付くようですね。
(3)アークランドサービス(3085)
最後に、成長性が株式市場で大きく評価されるパターンとして、外食チェーン「かつや」の運営企業であるアークランドサービス(3085)を見ます。かもねぎは2011年3月に同社株を購入しました。(所得税が10%から20%に上がるタイミングで一度換金しているので、取得価格は変動しています。)
購入時の分割調整後の株価で159円、PERは5.6倍、ROEは18.8%です。
利益はこの期間2.7倍に成長しており、先ほどのトランコムよりも伸び率が少々大きくなっています。
更に、PERの水準がバリュー株からグロース株のそれに切り上がりまして、5.6倍から25.97倍にまで上がっています。
結果として株価は2,000円と12.5倍ほどになりました。
いや、まさかこんなに化けるとは…上昇途中で一部売却してしまったのが悔やまれる……
良い株を割安圏内で購入できた場合、株式市場の評価の変動で、企業価値の向上以上に大きなリターンを得られる可能性もあるとお分かり頂けると思います。
4.まとめ
(1)ポイントのおさらい
長期投資において市場平均を上回る大きなリターンを得るには、「ROEが安定して高い」企業を「低いPERで購入すること」が重要と述べました。もちろん、これ以外の手法もあると思いますが、再現性や適用範囲の広さで言えば、上記が最も重要なポイントであると考えます。
ただし、このようなアイデアは決して僕のオリジナルではなく、ウォーレン・バフェット、チャーリー・マンガー、ジョエル・グリーンブラッド等の著名な投資家を参考としたものになります。
(2)今から買える銘柄は?
最後に余談として、今から買うのであれば、どんな企業を選定するのが良いでしょうか?正直、難しいです。
2011年頃のレベルで高ROE、低PERである銘柄を探すと、今の環境だと大東建託(1878)や東建コーポレーション(1776)辺りの不動産銘柄が目につきます。
しかし、これらの業界は、今まさに市況の下降局面に入っており、中々買いを入れ難いところです。
カカクコム(2371)やZOZO(3092)のような大型グロース株は、ROEが40%を超えているのに対してPERは20倍台前半であるため、もしかすると妙味があるのかもしれません。しかし、個人的にPERが20倍を超える銘柄はちょっと買い難いです。20倍を割るようなら、競争力の持続性を勘案しながら検討してみても良いかもしれません。
かもねぎとしては、次善の策として、
①過去のROEが安定しており相対的に割安な企業
②上場して間もない企業の中で、ビジネスモデル的に安定感のありそうな企業
③事業の組み換えによって安定的に高収益を得るメドが付いている企業
といった辺りを監視・購入しているところです。
なんだか中途半端なオチになってしまいましたね。申し訳ありません。
それではまた。
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