グレアム式のネットネット株は儲かるのか

こんにちは。相場の養分かもねぎ(@kamonegi_kabu)と申します。

今回のテーマは資産バリュー株、特にグレアム式の「正味流動資産割安株」「ネットネット株」についてです。

僕は、投資を始めた当初、資産バリュー株を主力としており、多い時はポートフォリオの3~4割ほどをこのような銘柄に振り向けていました。いわば、グレアム式投資の実践者というわけです。

理論上はうまくいくはずのグレアム銘柄への投資、経験者の立場から、その有効性と限界についてお話しできればと思います。

目次
1.グレアム銘柄とは
2.実際に投資してみたらこうなった
3.まとめ

1.グレアム銘柄とは

ベンジャミン・グレアムは、19世紀末から20世紀中頃を生きた経済学者・投資家です。
彼は客観的で説明しやすく、しかも安全で有利な投資方法を追求し続けた人であり、著書『証券分析』『賢明なる投資家』は投資本の古典的名作と言われます。


グレアムが用いた投資戦略として有名なのが、正味流動資産割安株に分散投資をする方法です。彼の著書『賢明な投資家』から該当箇所を抜粋すると以下の通りです。
この売買法の基本は、正味流動資産のみを考えた(つまり、工場設備を含むその他の資産は考慮に入れない)簿価よりも安い価格で買える株をなるべく多く取得することである。われわれが買い付けた銘柄のほとんどは、この「スリム化された」資産価値の、3分の2以下の価格で入手したものである。この方法で毎年、幅広い分散投資(100銘柄以上)を行っていた。

貸借対照表上の「流動資産」から「総負債」を引いた金額を正味流動資産と定義し、この金額が時価総額を上回っている銘柄を正味流動資産割安株とします。

さらに、時価総額が正味流動資産の2/3未満の銘柄を俗にネットネット株と呼びます。

グレアムは、ネットネット銘柄に幅広く分散投資をすることで、大きなリターンを得たと言われています。


この方法論の優れたところは、なんといっても明瞭で誰にでも実践が容易であるところです。

投資と言うのは、突き詰めるとアートのような部分があります。企業の成長性や競争力、経営陣の質にビジネスモデル…数値化の難しい「将来」をどのように予測・判断するかという難しさです。

一方、グレアムの手法であれば誰でも習得すれば実践できます。
そんな点に魅力を感じて、僕もグレアム銘柄への投資を実践することになりました。

2.実際に投資したらこうなった

では、僕がグレアム銘柄に投資をした実例を見て見ましょう。

過去に比較的大きなポジションを持っていたイサム塗料(4624)、岡山製紙(3892)、堺商事(9967)の3社をご紹介させていただきます。

(1)購入時のデータ

①イサム塗料(4624)

イサム塗料は、自動車用補修塗料という、交通事故が起きた際の修理に使用する塗料を扱うメーカーです。
2012年12月に同社株を取得。購入時の時価総額および財務数値は以下の通りです。

・時価総額   33億円

・正味流動資産 47億円

(流動資産88億円-総負債41億円)

※ほかに投資有価証券15億円長期預金11億円も保有

②岡山製紙(3892)

岡山製紙は、「中芯」という段ボール原紙を製造するメーカーです。
2013年4月に同社株を取得。当時の時価総額および財務数値は以下の通りです。

・時価総額   23億円


・正味流動資産 31億円


(流動資産65億円-総負債34億円)

※ほかに投資有価証券10億円も保有


③堺商事(9967)

堺商事は堺化学子会社の化学品商社です。
2012年6月に同社株を取得。当時の時価総額および財務数値は以下の通りです。

・時価総額   21億円

・正味流動資産 48億円

(流動資産127億円-総負債78億円)

どの企業も正味流動資産価値から見て十分な割安感がありますよね?

(2)投資結果

さて結果の発表です。
皆さまは、どの程度のリターンを得られたと思いますか?

各銘柄の購入月から本日(2019年1月29日)までの株価チャートで答え合わせをします。
また、比較対象として日経平均(赤)およびTOPIX(青)も併記しています。

それでは参りましょう。

①イサム塗料(4624)



約6年ちょっとで+120%となっていますね。
とはいえ日経平均・TOPIXも概ね同じくらい上昇していますので、そこまで大きな差はありません。

僕の場合は2017年10月頃に売却しているため、指数並の成績となっています。

よし、次だ次!!

②岡山製紙(3892)



トータルで見れば一応指数には勝っていますが、2016年頃までは上昇相場に全くついていけていません。

2017年10月頃から大きく上昇しておりますが、これは株主優待(QUOカード)を新設したことが大きいと思います。
なお、僕は2017年5月頃に売却しているため、優待新設後の上昇の恩恵を受けておらず良く存じておりません。(白目)

まだ!もう一銘柄あるから!!

③堺商事(9967)


・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・

ぬわああああああああんんんんn

というわけで、実際の投資実績を見ていただきましたが、いかがでしょうか?

結果は、0勝2分1敗で予選リーグ敗退みたいな感じでした

「お前が下手なだろ」と言われてしまえば全くその通りなのですが…

グレアム銘柄に投資すれば簡単に市場平均を超えるリターンを得られるわけではない、という点、お分かり頂けたのではないかと思います。

3.まとめ

グレアム銘柄への投資を実際にやってみて得た教訓です。

・絶対に儲かる方法ではない

株式投資において絶対確実な方法というものは、まず存在しません。

このことは、グレアム銘柄への投資についても当てはまります。

ここ数年は、どちらかと言えばグロース株が選好される相場が続いていました。グレアムの手法はリスクの低減に主眼を置いておりますので、相場環境との相性の問題もあったのかと思っています。

また、正味流動資産という概念は、企業が事業を止めて資金を株主に還した場合の「清算価値」を簡易的に計算したものと理解しています。

グレアムの投資実績を見ると、株主の立場で経営陣に要求をし、余剰資産を特別配当として返還させた事例が多々あります。
一方、日本の株式市場において、株主の圧力で余剰資金を株主に返還したり、株価が低迷している企業が敵対的な買収を受ける事例はほとんどありません。

資産価値から見て割安であったとしても、適正水準に戻すようなメカニズムが働かなければ、リターンは見込みにくいのではないかと思います。


・分析の一手法としては有効

とはいえ、資産価値に基づく分析が全く無意味とは思いません。

競争力のある製品を有し、まずまずの収益力を持つ企業が、市場全体の低迷や悪材料によって、正味流動資産価値よりも割安となることが時々あります。
ピカピカのエクセレントカンパニーではないものの、中の中から中の上くらいの会社といったイメージです。

このような企業を正味流動資産以下で購入した場合、経験上、業績や市況の回復によって大きなリターンを得られることが多々ありました。

資産価値というのは、企業の本質的な価値の一つではあり、株価を支える一つのファクターです。

資産価値で株価が下支えされつつ、収益性が回復すれば大きなリターンを得られるという仕組みです。


ちなみに、僕は未だ懲りずに資産価値から見て割安な銘柄を見つけてはせっせと購入を繰り返しています。

本ブログでも、資産バリュー株の分析結果を紹介していますので、興味のある方はぜひご覧になって頂ければと思います。

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