【銘柄分析】富士通フロンテック(6945)|ATM御三家の一角

こんにちは。相場の養分かもねぎ(@kamonegi_kabu)と申します。

今回は、富士通の子会社でATMや公営競技向けシステムに強みを持つ富士通フロンテック(6945)の分析を行いたいと思います。


目次
1.事業内容
2.財務状況
3.まとめ

1.富士通フロンテックの事業内容

富士通フロンテックの事業範囲については、大きく「金融関係」と「流通・公共関係」に分けられます。

(1)金融関係

同社の金融関係ビジネスは、ATM・営業店端末・メカコンポーネントが主要製品となります。

少しデータが古いのですが、同社の決算資料にATMおよび営業店端末のシェアおよび競合状況が記載された資料がありましたので、添付します。

富士通フロンテック 2013年度第1四半期決算説明および経営方針説明会より

まずATMですが、同社は日立オムロンターミナルソリューションズ、OKIと並ぶ国内3強の一角であり、おおむね1/4のシェアを有しています。
また、製品販売だけでなく、コンビニATMの運用管理を受託するサービスも展開しているようです。

その下の営業店端末とは、銀行窓口等で行員が操作する端末のことです。同製品については、現在も国内シェアの半数を抑えているようです。

また、ATMなどの中に組み込まれる「紙幣リサイクルユニット」というメカコンポーネントは外販もしており、特に海外で評価されているようです。

(2)流通・公共関係

同社が特に強みを持つのが、競馬場で馬券などを購入するトータリゼータ端末という分野で、国内では約半数のシェアを有します。
さらに子会社(日本トータリゼータ)を通じて、公営競技場の運営を丸ごと受託するサービスも提供しています。

そのほか、中古車オークション会場向けのシステムにも強みを持ちます。

富士通フロンテック 2013年度第1四半期決算説明および経営方針説明会より

さて、富士通フロンテックの取扱製品を見てきましたが、全体として、製品を売って終わりではなく、継続的なサービス・保守が発生する分野が多くなっています。

こういった取引は、顧客との関係性を維持しやすく、他社への切替えも発生しにくいビジネスとなりやすいです。「乗り換えコスト」という競争上の堀を有しているといえます。

同社もサービス・保守分野の売上を重視しており、全社売上の3割ほどがこのようなストック収益となっています。

2.富士通フロンテックの財務状況

(1)収益面

まず、富士通フロンテックの過去の業績推移を確認します。
数値は各年度の有価証券報告書における「主要な経営指標等の推移」を拾いました。


決して悪い業績ではないのですが、「うーん、もう少し儲かってそうなんだけどな…」という印象を受けました。

そこで過去のセグメント情報を見ると、流通向けシステム(POSシステム等)において赤字を出しており、これが業績の足を引っ張っているようです。

富士通フロンテック 2015年度決算説明会資料

ただし、2016年度に行われたセグメントロンダリングの結果、赤字事業の実体はよく分からなくなってしまいました。改めてうーん。。。

(2)資産価値

ここでは、ベンジャミン・グレアムの提唱した「正味流動資産価値」を中心に見ます。

直近決算における正味流動資産は266億円(流動資産519億円-総負債252億円)となっており、これに対して現在の時価総額は254億円。

時価総額は正味流動資産価値を下回る割安圏にあります。

(3)成長性

富士通フロンテックが強みを持つ製品は、定期的な更新需要は発生するものの、市場全体が大きく成長することは望みにくいです。

次の成長事業が見つかるまでは、良くて横ばいの業績が続きそうです。

3.まとめ

最後に、現時点(2019/1/23)の株価指標を確認します。

・予想PER   11.04倍
・実績PBR   0.5倍
・配当利回り  2.08%

競争力を持つ製品を複数有していながら株価は資産価値以下ですので、割安なことは間違いありません。
かもねぎファンドとしましても、監視銘柄の一つに加えており、もう少し株価が下がるようであれば買いたいところです。

なお、投資は自己判断でお願いいたします。


本ブログ内で銘柄分析を行った企業の一覧を作成しました。

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