こんにちは。相場の養分かもねぎ(@kamonegi_kabu)と申します。
オリコンと言うと、多くの人は歌番組で紹介される「オリコンチャート」を思い浮かべるのではないでしょうか?
しかし、同社の事業は音楽売上データの提供だけではなく、現在は「市場調査事業」「メディア事業」へと軸足を移している真っ最中となっています。
目次
1.企業概要
(1)沿革
(2)事業内容
2.財務分析
(1)財務数値
(2)収益性
(3)成長性
3.まとめ
事業セグメント別にみると、「コミュニケーション事業」と「モバイル事業」の順に売上高が大きくなっています。前期比で見ると、前者は増収、後者は大幅な減収です。
オリコンのビジネスを理解するためには、上記2事業を理解することが重要となりますので、以下でもう少し掘り下げたいと思います。
もう一つの「顧客満足度(CS)調査」とは、「オリコン顧客満足度調査」というブランドで行っている消費者調査になります。オリコンが独自にサービス利用者の満足度を調査し、その調査データを企業向けに販売する収益モデルとなっています。
モバイル事業は、過去のオリコンの業績を支えていた主力事業でした。
数値は各年度の有価証券報告書における「主要な経営指標の推移」を拾いました。
一言でいえば、業績は非常に不安定です。
上場後のオリコンの業績が悪化した局面は、大きく2度あります。
一度目は2007~2008年頃です。この時期は子会社の売却や一過性の費用が多く実態が分かり難いのですが、総論としては収益性の低い事業の撤退・売却を進めた時期と言えそうです。
二度目は2011年度をピークに、2016年頃まで減収減益が続いた期間ですが、これは当時の主力事業であった着メロ・着うたビジネスが縮小していったことが影響しています。
このように過去の業績は不安定ですが、しかし、2016年頃にはコミュニケーション事業の拡大やコスト削減により、利益は概ね底を打ちました。
結果として、事業ポートフォリオは音楽データベース、市場調査、ポータルサイトという収益性の高いビジネスに入れ替わっており、この事業構成を前提とすれば投資を検討する余地はあると思います。
データベース事業については、「音楽売上データ=オリコン」と言えるほどの強いブランド力があり、また、新規参入者が1から販売データを集計するネットワークを構築することは困難と考えられます。したがって、収益性を維持しやすいポジションにあります。
ポータルサイト(ORICON NEWS)の運営については、多数の事業者が参入している市場であり、競争は激しいと考えられます。
ただ、データベース事業の存在もあり、エンタメ分野では同社の発信する情報は他サイトよりも信頼性を得やすいと思われます。競争に勝ち抜くための一定の優位性は持っているといえそうです。
「顧客満足度調査」については、なかなか面白いビジネスモデルでして、オリコンは各種のサービス提供者から依頼を受けて調査をするのではなく、自社が独自に(勝手に)中立的な消費者調査を行い、その結果も公表したうえで、事業者に対して調査データの販売をしています。
オリコンの顧客満足度調査が高かった企業は、それを自社のマーケティングに利用してアピールしますし、逆に結果が悪かった事業者は、改善点を探るためにオリコンからデータの購入をせざるを得なくなります。
また、消費者がオリコンの調査を信用し、この調査に基づいて購買行動を決めるようになった場合、オリコン調査データの重要度もアップすると見込まれます。
また、同社が育成している顧客満足度(CS)調査は、消費者から見た調査の信頼性が向上すれば、強いネットワーク効果を有する事業に育つ可能性があります。
・業績の安定性 ×
・経済上の堀 事業によっては有
次に、ポータルサイト(ORICON NEWS)の運営については、インターネット広告市場の伸びは続いており、オリコンが他社との競争に勝てるのであれば、成長余地はあると考えられます。
最後に顧客満足度調査については、対象となるサービスの拡大や、調査そのものの信頼性の向上によって、十分な拡大余地があると考えられます。
現時点(2018年末)の株価を基準にするとPERは13倍程度と割高感はありません。
ポータルサイト(ORICON NEWS)や顧客満足度(CS)調査の拡大が見込めるのであれば、十分な買い余地はあるように思われるところです。
かもねぎとしては、主力にするほどでは無いものの、PFの一角には組み入れてみたいという判断をしております。
なお、投資は自己判断でお願いいたします。
本ブログ内で銘柄分析を行った企業の一覧を作成しました。
しかし、同社の事業は音楽売上データの提供だけではなく、現在は「市場調査事業」「メディア事業」へと軸足を移している真っ最中となっています。
目次
1.企業概要
(1)沿革
(2)事業内容
2.財務分析
(1)財務数値
(2)収益性
(3)成長性
3.まとめ
1.企業概要
(1)沿革
オリコンの設立は1967年、日本初のレコード売上ランキング誌である「総合芸能市場調査」を創刊したのが始まりでした。
祖業ともいうべき「音楽データベース事業」を基盤にしつつも、現在は、次のような分野で事業を展開しています。
(2)事業内容
はじめに2018年3月期決算における事業別の売上高を確認します。
出典 :オリコン平成30年3月期決算説明資料
事業セグメント別にみると、「コミュニケーション事業」と「モバイル事業」の順に売上高が大きくなっています。前期比で見ると、前者は増収、後者は大幅な減収です。
オリコンのビジネスを理解するためには、上記2事業を理解することが重要となりますので、以下でもう少し掘り下げたいと思います。
①コミュニケーション事業
本事業の内容は、大きく「ポータルサイトの運営」と「顧客満足度(CS)調査」に分けることができます。
まず「ポータルサイトの運営」ですが、同社は「ORICON NEWS」というサイトを運営しており、音楽系、エンタメ系のニュースに軸足を置きつつ、現在は総合ニュースサイトに育ってきています。
収益については、同サイトのバナー広告、タイアップ広告枠を販売することで得ております。ページビュー数が年々拡大傾向にあり、これに合わせて売上(広告収入)も伸びています。
収益については、同サイトのバナー広告、タイアップ広告枠を販売することで得ております。ページビュー数が年々拡大傾向にあり、これに合わせて売上(広告収入)も伸びています。
もう一つの「顧客満足度(CS)調査」とは、「オリコン顧客満足度調査」というブランドで行っている消費者調査になります。オリコンが独自にサービス利用者の満足度を調査し、その調査データを企業向けに販売する収益モデルとなっています。
調査対象となるサービスは、塾・保険・転職サイト…と年々拡充を続けており、これに合わせて売上も拡大しています。
②モバイル事業
本事業は、携帯電話向けの着うた・着メロ配信が主体の事業です。モバイル事業は、過去のオリコンの業績を支えていた主力事業でした。
今やスマートフォンやitunes等の普及で着メロはすっかり廃れてしまいましたが、ピーク時(2010年頃)には、売上で36億円、セグメント利益で13億円を稼いでいたのです。
この大黒柱が急速に縮小していく中、何とか事業転換を図ってきたというのが、ここ数年のオリコンの歴史でした。
2.財務分析
(1)財務数値
まず、オリコンの過去の業績推移を確認します。数値は各年度の有価証券報告書における「主要な経営指標の推移」を拾いました。
一言でいえば、業績は非常に不安定です。
上場後のオリコンの業績が悪化した局面は、大きく2度あります。
一度目は2007~2008年頃です。この時期は子会社の売却や一過性の費用が多く実態が分かり難いのですが、総論としては収益性の低い事業の撤退・売却を進めた時期と言えそうです。
二度目は2011年度をピークに、2016年頃まで減収減益が続いた期間ですが、これは当時の主力事業であった着メロ・着うたビジネスが縮小していったことが影響しています。
このように過去の業績は不安定ですが、しかし、2016年頃にはコミュニケーション事業の拡大やコスト削減により、利益は概ね底を打ちました。
結果として、事業ポートフォリオは音楽データベース、市場調査、ポータルサイトという収益性の高いビジネスに入れ替わっており、この事業構成を前提とすれば投資を検討する余地はあると思います。
(2)収益性
①定性分析
オリコンは複数の事業を展開しているため、主要な事業ごとに収益性に関わる要素を検討します。データベース事業については、「音楽売上データ=オリコン」と言えるほどの強いブランド力があり、また、新規参入者が1から販売データを集計するネットワークを構築することは困難と考えられます。したがって、収益性を維持しやすいポジションにあります。
ポータルサイト(ORICON NEWS)の運営については、多数の事業者が参入している市場であり、競争は激しいと考えられます。
ただ、データベース事業の存在もあり、エンタメ分野では同社の発信する情報は他サイトよりも信頼性を得やすいと思われます。競争に勝ち抜くための一定の優位性は持っているといえそうです。
「顧客満足度調査」については、なかなか面白いビジネスモデルでして、オリコンは各種のサービス提供者から依頼を受けて調査をするのではなく、自社が独自に(勝手に)中立的な消費者調査を行い、その結果も公表したうえで、事業者に対して調査データの販売をしています。
オリコンの顧客満足度調査が高かった企業は、それを自社のマーケティングに利用してアピールしますし、逆に結果が悪かった事業者は、改善点を探るためにオリコンからデータの購入をせざるを得なくなります。
また、消費者がオリコンの調査を信用し、この調査に基づいて購買行動を決めるようになった場合、オリコン調査データの重要度もアップすると見込まれます。
②経済上の堀(Economic Moat)
上記の定性分析から、祖業である音楽データベース事業は、無形資産(ブランドやデータ収集ネットワーク)という経済上の堀(Economic Moat)を有していると考えられます。また、同社が育成している顧客満足度(CS)調査は、消費者から見た調査の信頼性が向上すれば、強いネットワーク効果を有する事業に育つ可能性があります。
③評価
・収益力の高さ 〇・業績の安定性 ×
・経済上の堀 事業によっては有
(3)成長性
同社の主力事業のうち、着うた・着メロ(モバイル事業)は既に衰退局面であり、音楽データベース事業についても、今後の成長は見込みにくいです。次に、ポータルサイト(ORICON NEWS)の運営については、インターネット広告市場の伸びは続いており、オリコンが他社との競争に勝てるのであれば、成長余地はあると考えられます。
最後に顧客満足度調査については、対象となるサービスの拡大や、調査そのものの信頼性の向上によって、十分な拡大余地があると考えられます。
3.まとめ
オリコンの企業分析については以上の通りとなります。現時点(2018年末)の株価を基準にするとPERは13倍程度と割高感はありません。
ポータルサイト(ORICON NEWS)や顧客満足度(CS)調査の拡大が見込めるのであれば、十分な買い余地はあるように思われるところです。
かもねぎとしては、主力にするほどでは無いものの、PFの一角には組み入れてみたいという判断をしております。
なお、投資は自己判断でお願いいたします。
本ブログ内で銘柄分析を行った企業の一覧を作成しました。
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