【銘柄分析】堺商事(9967)|万年割安の化学品商社

こんにちは。相場の養分かもねぎ(@kamonegi_kabu)と申します。

今回は中堅の化学品商社である堺商事(9967)を見てみます。

同社を一言で説明すると、アベノミクスの期間もほぼ株価が無風だった万年割安の資産バリュー株です。


とても平坦な株価チャートですね…

僕は2012年頃から堺商事の株を保有していましたが、日経平均等のインデックスに大幅に劣後、いたたまれない気持ちになって一度手放しました。

とはいえ、改めて企業内容を調べると「そんなに悪くないな」と思い、本日株価が急落していたのを見て買い直しました。

本記事では、申し訳程度の買い煽り要素を散りばめながら、同社の概要を紹介してみたいと思います。

目次
1.事業内容
2.財務状況
3.まとめ

1.事業内容

堺商事は、堺化学工業の貿易部が分離・独立した商社であり、現在も堺化学工業の連結子会社です。

商品別の売上構成は以下の通り

堺商事 事業報告書より
最も構成比の大きい化成品(39%)分野については、白色の塗料やインキの材料となる酸化チタン等が中心となります。

そのほか、衛生材料分野では、紙おむつ用の高吸水性樹脂等を、電子材料分野では、セラミック製品の原料となるチタン酸バリウム等を販売しています。

全体としては親会社(堺化学工業)製品の比率が多くなっていますが、2012年には自社で衛生材料の製造に参入する等、商材の拡大を図っています。

2.財務状況

(1)財務数値

まず、堺商事の過去の業績推移を確認します。
数値は各年度の有価証券報告書における「主要な経営指標等の推移」を拾いました。
最下段には当期の四季報予想を乗せています。

業績はまずまず安定しているものの、2011年3月期にピークを付けて以降、ここ数年間は苦戦気味です。

この背景には、子会社の業績不振があります。

堺商事は、2012年にインドネシアにおむつ用の衛生材料を製造する合弁会社(出資比率55%)を設立、自己資本の2割に当たる約10億円の大規模投資を行いました。
ところが、このインドネシア製造子会社が中々軌道に乗らず、業績の足を引っ張ります。

子会社の業績は直接開示はされていないものの、少数株主損益(非支配株主に帰属する損益)から推計できます。


上記の金額を非支配持分比率(45%)で割り戻した金額が、子会社の損益とおおむね一致するイメージです。
2015~2016年には▲2億円近い赤字を出していた模様であり、堺商事の経常利益(ピーク時でも7億円)と比べても、子会社の不振は非常に痛いところでした。

しかし、当年度(2019年3月期)の数値を見ると、少数株主損益が大きく黒字転換しました。

これは、業績の足を引っ張っていた合弁会社が利益貢献するようになったことを意味し、業績面では非常にポジティブなトピックと言えます。

(2)資産価値

次に、収益面と合わせて資産価値を確認しましょう。
ここでは、ベンジャミン・グレアムの提唱した「正味流動資産価値」を見ます。

直近決算(19年3月期第3四半期)における堺商事の正味流動資産は50億円(流動資産153億円-負債103億円)。


これに対して現在の時価総額は30億円ですので、株価が正味流動資産価値の2/3未満であるネットネット株となっています。

(3)成長性

堺商事は、来期(2020年3月期)を初年度とする5カ年の中計を策定しており、当期見込に対して+50%の営業増益を目指す内容となっています。
堺商事ホームページより
足元のEPSが約200円ですので、中計の数値目標を達成できた場合は、単純計算でEPSが300円程度に伸びる見込みとなります。

四季報の記事によれば配当政策の見直しも検討しているとのことで、株主還元の拡大にも期待が持てそうです。

3.まとめ

最後に現時点(2019年4月)の堺商事の株価指標を確認します。

・予想PER    :7.71倍
・実績PBR    :0.38倍
・予想配当利回り :2.61%

PBRや正味流動資産価値を見ればほぼ底値圏ですので、中計の数値目標が達成されれば、見直し買いが期待できると思います。

もしかすると、親会社である堺化学工業のTOBもあるかもしれませんね。(と言って早や7年が経ちますが…)

本ブログ内で銘柄分析を行った企業の一覧を作成しました。

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