ヱスビー食品(2805)が2021年3月期決算を発表しましたので、ざっくりと確認しました。
1.決算概況
売上高は新基準ベースで+1.5%の増収、営業利益は+30.5%の増益となりました。
以下は長期の業績推移となります。
2.事業動向
ヱスビー食品は、香辛料・スパイスハーブ・即席食品を扱う大手食品メーカーです。
今期は、新型コロナウイルス感染症に伴う巣ごもり需要もあり、「スパイスハーブ」「香辛調味料」といった自炊用の調味料が大幅に伸長しました。
また、前期にセブンイレブン向けに調理麺等を販売する子会社「ヒガシヤデリカ」で工場の譲渡等を行ったことで、調理済食品セグメントの収益性が回復しました。
3.まとめ
さて、ここからまとめというか余談になります。
上記に添付した長期業績の推移を見ていただきますと、前期~今期から売上高が大幅に目減りしていることに気づきます。これは「収益認識に関する会計基準」という新しい会計基準を適用したことが影響しています。
食品メーカーが主に関係するのはリベートの会計処理であり、従来であれば「①売上高のマイナス処理」「②販管費処理」のいずれかが認められていましたが、新基準では原則として「①売上高のマイナス」として処理されます。
参考として、前期決算(旧基準)と今期決算における前年度数値(新基準で組み替え再表示)を比較してみます。
まず売上高を見ると、新基準では▲343億円の減少。
次に販管費の方を見ると、新基準では「販売促進費」が▲330億円、「広告宣伝費」が▲13億円減っており、合わせると売上高の減少幅と一致しています。
要はこの2科目で表示していたリベート類を、売上高の控除項目とした、ということですね。
短信内の「当期の経営成績の概況」ではこんな記述もあります。
(抜粋)
なお、食料品事業内の各製品区分別の売上高は出荷価格ベースのため、その合計は食料品事業の売上高と一致いたしません。
期中は出荷価格で売上を立てておいて、リベートは決算調整で売上高から控除したのかな?商品ごとに区分するのが難しいのかな?…と、経理屋さん的には妄想が膨らんでしまいます。
以上、余談でした。
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