明和産業(8103)|政策保有株式縮減に関するお知らせをレビュー

明和産業(8103)が「政策保有株式縮減に関するお知らせ」および「中間配当の実施及び配当予想の修正に関するお知らせ」という開示を出していましたので、内容を確認しました。


1.明和産業について

明和産業は三菱商事系列の中堅化学品商社です。

足元では時価総額(147億円)が正味流動資産価値(156億円)を下回る資産バリュー銘柄であるとともに、過去5年間の平均ROEは8%強と、まずまずの収益力を兼ね備えた企業です。

(参考)過去の業績推移

2.開示の内容を確認します

まずは、一つ目の「政策保有株式縮減に関するお知らせ」から
政策保有株式について保有に伴う便益やリスクが資本コストに見合っているかを精査し、16銘柄・859百万円(簿価ベース)を売却することとしたそうです。

明和産業は、2019年3月期決算で投資有価証券を154億円(時価総額とほぼ同額ですね)保有しています。
持分法適用子会社を除いた純粋な政策保有上場株式は26銘柄、時価ベースで60億円ほど。

有価証券報告書から保有上位銘柄を抜粋すると以下の通りです。

最も保有額が大きいのが高級ヘルメットメーカーであるSHOEI(7839)。

SHOEIとは、長年ヘルメットの原材料を納入してきた取引関係があり、1992年に旧・昭栄加工(株)が会社更生法を適用した際には、資本支援も実施しました。おそらくその当時からの保有株でしょう。

その他には、AGC・三菱瓦斯化学・三菱ケミカル・三菱UFJ・東京海上といった三菱グループの企業の名前が多く見られます。

資本の部を見ると、第1四半期時点で「その他有価証券評価差額金」が28億円ありますので、平均すると簿価に対して2倍程度の含み益があると推測されます。


次に二つ目の開示「中間配当の実施及び配当予想の修正に関するお知らせ」を見ます。

政策保有株の売却益を原資として、中間配当を実施することとしました。

その額は一株当たり44円
明和産業の本日終値は353円ですので、中間配当利回りは12.5%

中々インパクトのある数値となります。

3.所感

日本企業は、事業と関係ない余剰資金を貯め込む習性があり、しばしば余剰資金を圧縮して株主還元に充てるべき、との主張がなされます。
資本市場の活性化という観点からは理にかなった要求ではありますが、中々実行に移してくれる経営者は多くありません。

そんな中、明和産業のような中堅企業、特に資産バリュー株と言えるような会社が自発的にこのような経営判断をしたことはとても好感が持てます。

コーポレートガバナンスであったり、資本効率という概念が日本に定着してきた証拠かもしれませんね。

(足元の株価は資産価値未満ですので、理想を言えば、EPSの増加も見込まれる自社株買いの方が良かったです。)

(参考)過去の企業分析記事


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