こんにちは。相場の養分かもねぎ(@kamonegi_kabu)と申します。
今回は、石灰石で国内生産量トップの日鉄鉱業(1515)を見てみます。
目次
1.事業内容
2.財務状況
3.まとめ
石灰石は、セメントの原料やコンクリートの骨材等に使用されるものです。
日本国内の生産量は約1億4千万トンであり(出典:石灰石鉱業協会)、日鉄鉱業の生産量は国内トップ(約2千万トン)とのことです。
下記の画像は同社の主要鉱山である鳥形山鉱業所(高知県)の衛星写真となります。
画面の中央やや左寄り、高知県の山間部に白いもやのような何かが見えませんでしょうか。
これを拡大すると…
なんと、石灰石の鉱山でした!!
日鉄鉱業・鳥形山鉱業所は、1971年に出鉱をはじめた国内最大級の鉱山であり、採掘現場は約130ヘクタール超と大変広大です。採掘された石灰石は、地下のベルトコンベアを通じて最寄りの須崎港へ運搬されているとのことです。
この鳥形山、かつては山頂まで1,459mの高さがありましたが、石灰石採掘により山が切り崩され、現在は標高1,300m以下まで下がってきているそうです。
いやはや、日本とは思えないスケールの大きい事業ですね~
石灰石のほか、石灰石を原料とするタンカル(炭酸カルシウムの粉末)の製販、取引関係を活かした燃料油の販売等を行っています。
顧客は国内セメントメーカー等が中心ですが、豪州や台湾、香港への石灰石輸出も実施しているようです。
過去10年間の業績は以下の通りであり、まずまず堅調に推移しています。
元々は日本国内で鉱山開発を行っていましたが、資源量の枯渇に伴い海外での鉱山開発に軸足を移し、現在はチリ・アタカマ銅鉱山の開発・操業がメインです。
売上高は大きな部門ですが、近年は銅価の下落や操業コストの上昇に苦しんでおり、前期にはチリ銅鉱山子会社で不適切な会計処理も発覚(純資産への影響額は▲6億円)してしまいました。
この部門は、下水処理に用いられる水処理剤「ポリテツ」が主力製品です。
「ポリテツ」は、日本の下水処理場(約2,000箇所)のうち約500箇所で採用されている薬剤であり、個液分離・重金属の除去・脱臭といった役割を果たしています。同種の製品として約90%のシェアを有しているとのことです。
インフラ運営に必須の消耗品を供給するビジネスであることから、景気の変動に関わらず安定的な利益を計上しています。
全国各地の鉱山跡地や遊休地を活用して不動産事業を展開、主な物件としては穂波パークシティ(福岡県飯塚市)、三鷹日新ビル(東京都三鷹市)、ショッピングアベニュー矢峰(長崎県佐世保市)等が挙げられます。
数値は、各年度の有価証券報告書の「主要な経営指標等の推移」を拾いました。
資源会社であるため、やはり業績の変動は大きいですね。
ここ数年は、チリの銅鉱山子会社の業績がイマイチ振るいません。
19年3月期決算における正味流動資産(流動資産-総負債)は141億円あり、ここに総資産の15%を占める投資有価証券を足すと401億円。
日鉄鉱業の時価総額は320億円ですので、株価は換金性の高い資産価値を下回っている状況です。
このほか、不動産部門で抱える賃貸不動産にもかなりの含み益があり、その金額は220億円と時価総額の約70%に及びます。
上記も勘案すれば、鉄壁の資産バリュー株と言えることは間違いありません。
・予想PER 6.52倍
・実績PBR 0.31倍
・予想配当利回り 2.34%
配当利回りは少し低めですが、PER・PBRは割安圏です。
1Q決算にて不適切な会計処理の調査費用(特別損失)を計上し利益が押し下げられたことや、チリの銅鉱山事業の先行き懸念等もあって売られている状況です。
主力に据える感じの銘柄ではありませんが、優待目当てにPFの一角に組み入れるくらいには丁度良いのではないでしょうか。
なお、投資をする際は自己責任でお願いいたします。
本ブログ内で銘柄分析を行った企業の一覧を作成しました。
今回は、石灰石で国内生産量トップの日鉄鉱業(1515)を見てみます。
目次
1.事業内容
2.財務状況
3.まとめ
1.日鉄鉱業の事業内容
(1)石灰石と日鉄鉱業
資源小国と言われる日本ですが、数少ない国内で自給できる資源の一つとして「石灰石」があります。石灰石は、セメントの原料やコンクリートの骨材等に使用されるものです。
日本国内の生産量は約1億4千万トンであり(出典:石灰石鉱業協会)、日鉄鉱業の生産量は国内トップ(約2千万トン)とのことです。
下記の画像は同社の主要鉱山である鳥形山鉱業所(高知県)の衛星写真となります。
画面の中央やや左寄り、高知県の山間部に白いもやのような何かが見えませんでしょうか。
これを拡大すると…
なんと、石灰石の鉱山でした!!
日鉄鉱業・鳥形山鉱業所は、1971年に出鉱をはじめた国内最大級の鉱山であり、採掘現場は約130ヘクタール超と大変広大です。採掘された石灰石は、地下のベルトコンベアを通じて最寄りの須崎港へ運搬されているとのことです。
この鳥形山、かつては山頂まで1,459mの高さがありましたが、石灰石採掘により山が切り崩され、現在は標高1,300m以下まで下がってきているそうです。
いやはや、日本とは思えないスケールの大きい事業ですね~
(2)日鉄鉱業の事業構成
それでは、日鉄鉱業の事業構成を確認してみます。日鉄鉱業 2019年3月期有価証券報告書より作成 |
①鉱石部門
全社売上の約半数を占めるのが、石灰石を主力とする鉱石部門です。石灰石のほか、石灰石を原料とするタンカル(炭酸カルシウムの粉末)の製販、取引関係を活かした燃料油の販売等を行っています。
顧客は国内セメントメーカー等が中心ですが、豪州や台湾、香港への石灰石輸出も実施しているようです。
過去10年間の業績は以下の通りであり、まずまず堅調に推移しています。
②金属部門
次に売上高の大きな部門は金属部門です。元々は日本国内で鉱山開発を行っていましたが、資源量の枯渇に伴い海外での鉱山開発に軸足を移し、現在はチリ・アタカマ銅鉱山の開発・操業がメインです。
売上高は大きな部門ですが、近年は銅価の下落や操業コストの上昇に苦しんでおり、前期にはチリ銅鉱山子会社で不適切な会計処理も発覚(純資産への影響額は▲6億円)してしまいました。
③機械・環境部門
規模は小さいながら、安定的に利益貢献をしているのが機械・環境部門です。この部門は、下水処理に用いられる水処理剤「ポリテツ」が主力製品です。
「ポリテツ」は、日本の下水処理場(約2,000箇所)のうち約500箇所で採用されている薬剤であり、個液分離・重金属の除去・脱臭といった役割を果たしています。同種の製品として約90%のシェアを有しているとのことです。
インフラ運営に必須の消耗品を供給するビジネスであることから、景気の変動に関わらず安定的な利益を計上しています。
④不動産部門
不動産も安定的に利益貢献している部門です。全国各地の鉱山跡地や遊休地を活用して不動産事業を展開、主な物件としては穂波パークシティ(福岡県飯塚市)、三鷹日新ビル(東京都三鷹市)、ショッピングアベニュー矢峰(長崎県佐世保市)等が挙げられます。
2.日鉄鉱業の財務状況
(1)財務数値
続いて、日鉄鉱業の過去の業績推移を確認します。数値は、各年度の有価証券報告書の「主要な経営指標等の推移」を拾いました。
資源会社であるため、やはり業績の変動は大きいですね。
ここ数年は、チリの銅鉱山子会社の業績がイマイチ振るいません。
(2)資産価値
収益面と合わせて資産価値もざっと確認します。19年3月期決算における正味流動資産(流動資産-総負債)は141億円あり、ここに総資産の15%を占める投資有価証券を足すと401億円。
日鉄鉱業の時価総額は320億円ですので、株価は換金性の高い資産価値を下回っている状況です。
このほか、不動産部門で抱える賃貸不動産にもかなりの含み益があり、その金額は220億円と時価総額の約70%に及びます。
上記も勘案すれば、鉄壁の資産バリュー株と言えることは間違いありません。
(3)その他
日鉄鉱業は株主優待制度も設けており、100株以上保有すると、子会社が製造販売するミネラルウォーターが贈呈されます。3.まとめ
最後に現時点(2019年8月)の日鉄鉱業の株価指標を確認します。・予想PER 6.52倍
・実績PBR 0.31倍
・予想配当利回り 2.34%
配当利回りは少し低めですが、PER・PBRは割安圏です。
1Q決算にて不適切な会計処理の調査費用(特別損失)を計上し利益が押し下げられたことや、チリの銅鉱山事業の先行き懸念等もあって売られている状況です。
主力に据える感じの銘柄ではありませんが、優待目当てにPFの一角に組み入れるくらいには丁度良いのではないでしょうか。
なお、投資をする際は自己責任でお願いいたします。
本ブログ内で銘柄分析を行った企業の一覧を作成しました。
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