このグレアム銘柄がすごい!?~フジオーゼックス(7299)

ベンジャミン・グレアムとは、企業価値を客観的に数量化するアプローチを取った最初の著名な投資家と言われており、大投資家ウォーレン・バフェットが若い頃に師事したことから、「バフェットの師匠」としても有名です。
グレアムが用いた投資戦略として有名なのが、正味流動資産割安株に分散投資をする方法です。グレアムの著書『賢明な投資家』から該当箇所を抜粋すると・・・

この売買法の基本は、正味流動資産のみを考えた(つまり、工場設備を含むその他の資産は考慮に入れ名)簿価よりも安い価格で買える株をなるべく多く取得することである。われわれが買い付けた銘柄のほとんどは、この「スリム化された」資産価値の、3分の2以下の価格で入手したものである。この方法で毎年、幅広い分散投資(100銘柄以上)を行っていた。


・・・といった具合になります。 

今回の企画は、「正味流動資産割安株(正味流動資産>時価総額)」をグレアム銘柄と定義し、その割安度を調査するというものです。
第1回(最終回かもしれない)で取り上げるのは、東証2部上場のフジオーゼックス(7299)です。

1.企業概要

フジオーゼックス(7299)は、自動車向けエンジンバルブのメーカーです。
(参考写真:同社ホームページより)


ガソリンエンジンは、吸入(ガソリンと空気を混ぜる)、圧縮(狭い面積に押し込む)、爆発(膨張してピストンを押し下げる)、排気(燃焼を終えたガスを出す)、と言う原理で動くものですが、
この中でエンジンバルブは、燃焼室へ空気とガソリンの混合ガスを引き入れたり、燃焼済みガスを排出する際に開閉する役割を果たすものです。
フジオーゼックスは、このエンジンバルブで国内シェア約3割、世界シェア約15%を持つトップメーカーであり、主に日産自動車、いすゞ、富士重、スズキなどを顧客としています。

現在の株価(373円)を基準にすると予想PERは6.67倍、PBRは0.38倍、配当利回りは2.68%。
株価は正味流動資産以下(流動資産150億-総負債30億=正味流動資産120億>時価総額76億)であり、グレアム銘柄の条件を満たしています。
同社の過去10年間の業績は以下の通りで、売上高・当期利益ともに振れ幅が大きくなっていますが、最終赤字になったことは一度もありません。
(過去10年間の売上高・最終利益の推移)


2.評価点

・株価は正味流動資産の3分の2以下であり、現預金(74億)が多く流動資産の質も良好。土地(簿価23億)や投資有価証券(7億)も一定の資産価値を見込めます。
・利益の変動は大きいが、過去10年間の一株利益(平均)は約49円あり、平準化したPERでも7.6倍と十分に割安圏。
・親会社(大同特殊鋼)が45%の株式を保有しており、TOBの可能性がある。

3.懸念材料

・親会社(大同特殊鋼)が安値でTOBを仕掛けてくる可能性もある。
・過去10年で減価償却費が大きく減少(11億→6億)。合理化が進んだのならば良いが、設備の更新を先送りしている可能性がある。
・海外売上比率は13.5%であり、自動車セクターにしては海外展開が進んでいない。

4.勝手に割安度を評価すると

☆☆☆☆★(星4つ)

過去10年を見ると年平均FCFが約11億円あり、時価総額(76億円)と比べてもキャッシュを稼ぐ力は悪くないと思います。
現状の株価なら、資産のバリューの3分の2以下で購入できるますので、魅力的な株価水準といえるのではないでしょうか。

なお、投資は自己責任でお願いします。(これ一度言ってみたかった)

※本記事は、旧ブログで2013年に作成した記事をBloggerへ移転したものです。


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なお、本ブログ内で銘柄分析を行った企業の一覧を作成しています。
興味がある方はこちらの一覧をご覧ください。

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