ベンジャミン・グレアムとは、企業価値を客観的に数量化するアプローチを取った最初の著名な投資家と言われており、大投資家ウォーレン・バフェットが若い頃に師事したことから、「バフェットの師匠」としても有名です。
グレアムが用いた投資戦略として有名なのが、正味流動資産割安株に分散投資をする方法です。グレアムの著書『賢明な投資家』から該当箇所を抜粋すると・・・
・・・といった具合になります。
こっそりとシリーズ化を狙っているグレアム銘柄分析シリーズですが、第2回目の今回は、大証2部上場の堺商事(9967)を取り上げたいと思います。
現在の株価(270円)を基準にすると予想PERは6.92倍、PBRは0.44倍、配当利回りは2.96%。
株価は正味流動資産以下(流動資産132億-総負債82億=正味流動資産51億>時価総額25億)であり、グレアム銘柄の条件を満たしています。
同社の過去10年間の業績は以下の通りです。ある程度の景気変動の影響は受けつつも、安定した業績推移となっていますね。
堺商事については、以下のような製品を販売しているようです。なお、(1)と(2)は親会社から、(3)以下は主に親会社以外からの仕入れ製品となっています。
(1)セラミック製品向けの原材料(チタン酸バリウム等)
(2)塗料・インキメーカー向けの原材料(酸化チタン等)
(3)紙おむつメーカー向けの高吸水性樹脂
(4)親会社・グループ会社向けの原料輸入
(5)その他(その他って便利な言葉ですね)
堺商事の業績はイマイチかと思いきや、意外なことに総資産に対する営業利益率(5.5%)は大手5社よりも高水準で、従業員一人当たりの売上高(344百万円)も業界上位のレベルとなっています。
意外と資産効率が良いのは、商社業に徹し、余計な資産(投資有価証券など)を保有していないことが効いているのではないでしょうか。
・過去10年間の平均ROEは約7.5%あり、東証1部の平均ROEより高いことから、同社の収益力は平均以上といえる。
・大証2部上場企業であり、東証と大証の合併後は大証ディスカウントの解消が期待できる。
・親会社の安値TOBの危険性。
・メーカー系の商社であり、親会社の製品の競争力によって業績が左右される。
ネットネット株で自己資本比率もまずまず(40%)、市場平均以上のROEという所は、バリュー株として魅力的といえるのではないでしょうか。
他方、親会社製品の取り扱いが多く、親会社の事業方針によって業績が左右されかねない会社である点は、大きな懸念材料かと思います。
なお、投資は自己責任でお願いします。
※本記事は、旧ブログで2013年に作成した記事をBloggerへ移転したものです。
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なお、本ブログ内で銘柄分析を行った企業の一覧を作成しています。
興味がある方はこちらの一覧をご覧ください。
グレアムが用いた投資戦略として有名なのが、正味流動資産割安株に分散投資をする方法です。グレアムの著書『賢明な投資家』から該当箇所を抜粋すると・・・
この売買法の基本は、正味流動資産のみを考えた(つまり、工場設備を含むその他の資産は考慮に入れない)簿価よりも安い価格で買える株をなるべく多く取得することである。われわれが買い付けた銘柄のほとんどは、この「スリム化された」資産価値の、3分の2以下の価格で入手したものである。この方法で毎年、幅広い分散投資(100銘柄以上)を行っていた。
・・・といった具合になります。
こっそりとシリーズ化を狙っているグレアム銘柄分析シリーズですが、第2回目の今回は、大証2部上場の堺商事(9967)を取り上げたいと思います。
1.企業概要
堺商事(9967)は中堅の化学品商社であり、大証1部上場の堺化学工業(4078)の連結子会社となっています。現在の株価(270円)を基準にすると予想PERは6.92倍、PBRは0.44倍、配当利回りは2.96%。
株価は正味流動資産以下(流動資産132億-総負債82億=正味流動資産51億>時価総額25億)であり、グレアム銘柄の条件を満たしています。
同社の過去10年間の業績は以下の通りです。ある程度の景気変動の影響は受けつつも、安定した業績推移となっていますね。
2.事業内容
堺商事は化学品商社ですが、「化学品」と一口に言っても商材は膨大な種類があり、どんな商品を取り扱っているかで会社の特徴も変わってくるところです。堺商事については、以下のような製品を販売しているようです。なお、(1)と(2)は親会社から、(3)以下は主に親会社以外からの仕入れ製品となっています。
(1)セラミック製品向けの原材料(チタン酸バリウム等)
(2)塗料・インキメーカー向けの原材料(酸化チタン等)
(3)紙おむつメーカー向けの高吸水性樹脂
(4)親会社・グループ会社向けの原料輸入
(5)その他(その他って便利な言葉ですね)
3.同業他社との比較
大手の化学品専門商社と堺商事の業績を比較すると以下の通りとなります。堺商事の業績はイマイチかと思いきや、意外なことに総資産に対する営業利益率(5.5%)は大手5社よりも高水準で、従業員一人当たりの売上高(344百万円)も業界上位のレベルとなっています。
意外と資産効率が良いのは、商社業に徹し、余計な資産(投資有価証券など)を保有していないことが効いているのではないでしょうか。
4.評価点
・近い将来、親会社によるTOBの可能性がある。・過去10年間の平均ROEは約7.5%あり、東証1部の平均ROEより高いことから、同社の収益力は平均以上といえる。
・大証2部上場企業であり、東証と大証の合併後は大証ディスカウントの解消が期待できる。
5.懸念材料
・在庫投資が増えると営業CFがマイナスになる。・親会社の安値TOBの危険性。
・メーカー系の商社であり、親会社の製品の競争力によって業績が左右される。
6.勝手に割安度を評価すると
☆☆☆☆★(星4つ)ネットネット株で自己資本比率もまずまず(40%)、市場平均以上のROEという所は、バリュー株として魅力的といえるのではないでしょうか。
他方、親会社製品の取り扱いが多く、親会社の事業方針によって業績が左右されかねない会社である点は、大きな懸念材料かと思います。
なお、投資は自己責任でお願いします。
※本記事は、旧ブログで2013年に作成した記事をBloggerへ移転したものです。
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なお、本ブログ内で銘柄分析を行った企業の一覧を作成しています。
興味がある方はこちらの一覧をご覧ください。
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