【銘柄分析】プラップジャパン(2449)|名門PR会社は割安優良株?《前編:企業概要》


こんにちわ。相場の養分かもねぎ(@kamonegi_kabu)と申します。
ブログも心機一転リニューアルということで、なるべく更新頻度も上げていきたいと思う今日この頃です。

さて今回は、保有銘柄の紹介と情報の整理を目的として、総合PR会社の名門であるプラップジャパン(2449)の銘柄分析を行います。

【こんな人におすすめ】
・誰も話題にしないような不人気バリュー株が好き
・連続増配企業が好き

なお、PR会社というのは世間的にあまり知られていない業種であるため、前編では、「そもそもPR会社とは何か」や「プラップジャパンの沿革」を中心に記載しています。

時間がない人、投資対象としての有無を早く見たい人は後編からご覧ください

目次

(前編)
1 そもそもPR会社とは
 (1)PR会社と広告会社の違い
 (2)広義のPR
2.企業概要
 (1)沿革
 (2)市場概況
 (3)事業内容 ←今回はここまで

(後編)
3.財務分析 
 (1)財務数値
 (2)収益性
 (3)成長性
4.投資理由
5.まとめ


1.そもそもPR会社とは


一体なにをしてる会社なんでしょうか?広告会社とは何が違うんでしょうか?

(1)PR会社と広告会社の違い

非常におおざっぱに言うと、広告を出稿するのが広告会社、メディアに働きかけて記事として取り上げて貰うのがPR会社となります。

いわゆる広告代理店は、各種メディアに広告を掲載したいクライアントから広告料を取り、媒体との仲立ちをし、出稿量に応じたマージンを得る商売です。

一方のPR会社ですが、その代表的な業務は「パブリシティ」といいます。これは、企業が伝えたい情報を「記者会見」や「プレスリリースの配信」、「イベント」等を通じて記事にして貰うものです。
料金は、コンサルタントや士業のようにフィーとして決まります。

●広告とPR(パブリシティ)の違い


(2)広義のPR

上記はいわゆる「パブリシティ」という活動ですが、それだけでなく、クライアントを取り巻く各種ステークホルダーとの関係の向上を目指すのが「PR活動」です。
例えば、我々投資家と企業の関係であれば「IR(インベスターズ・リレーション)」といった具合です。

2.企業概要

(1)沿革

プラップジャパン(株)は創業者である矢島尚氏が1970年に設立した企業です。

この設立前後のエピソードが中々面白く、また、PR会社のなんたるかを理解することもできるので、創業者である矢島氏の著書より引用させていただきたいと思います。

創業者の矢島氏が大学を卒業した頃は、まだ日本国内にはPR会社はほとんどありませんでした。
矢島氏は、数少ない会社の中からオズマピーアール(現在も存在します)という会社に就職し、そこでは、主にホンダのレンタカーのPR活動等に従事しました。
 
レンタカーは、本田技研(ホンダ)が自社の乗用車を売るために考え出した戦略でした。何せ60年代ですから、マイカーはまだ庶民にとっては夢のような存在です。新車を出したからといって簡単には売れません。そこでまず、買ってもらえるかどうかは別として乗ってもらおう、とホンダは考えたのです。
今では想像もできないかもしれませんが、(略)その頃はレンタカーという言葉そのものが世間に通じませんでした。
新聞や雑誌の記者に「レンタカーの記事を書きませんか」と言っても「なに、自動車の時間貸しのことか。それなら貸し自動車って言えよ」という反応が返ってくるほどでした。(略)それでも記事になったのを見ると「レンタルカー」、酷いときには「レンタン・カー」と誤記されていたものです。パブリシティの場合、広告と異なり、活字になる際はあくまでも先方の作る記事という形を取るので、事前にチェックなどは出来ません。
 出典元:『戦略的PRの発想』 矢島尚

当時の日本でまったく新たなビジネスを始めようとするホンダと、そのPRに苦戦をする矢島氏の大変さが目に浮かぶようですね…。

そんな中、矢島氏のとった作戦は次のようなものでした。

ただし、そのころまだ自動車は若者の憧れでしたし、記者の方にも車好きは多かったのです。(略)とりあえず車好きの記者にレンタカーをどんどん貸し出して、記事を書いてもらうのです。
これも今ではちょっと想像できないでしょうが、昔は「ドライブ記事」というものが新聞や雑誌によく載っていたのです。ドライブで、どこかの名所を訪ねて、旨いものを食べて……というようなガイド記事です。(略)レンタカーを使ったドライブ記事を書いてもらう。そうすれば自然とレンタカーという単語も使われ、普及するようになるのです。
 出典元:『戦略的PRの発想』 矢島尚

今、私たちが当たり前のように使っている「レンタカー」という用語も、このような経緯で浸透・定着してきたのかと思うと、なにやら感慨深い思います。

さて、その後、矢島氏は独立してプラップジャパン(株)を設立します。
同社は順調に成長を続け、1997年には業界の草分け的なタイミングで中国進出、2005年にはジャスダックへの上場を果たし、現在に至ります。

(2)市場概況

国内のPR市場は、プラップジャパンのIR決算説明資料によれば約1千億円(2016年)となっており、成長を続けている市場です。
出典:プラップジャパン2018年8月期決算説明資料

国内では、電通子会社の電通パブリックリレーション、高成長で投資家に人気のベクトル、古参企業の共同ピーアール、スポーツ選手に強いサニーサイドアップ等が事業を展開しています。また、プレスリリース部分に焦点をあてたPRTIMES(ベクトル子会社)といった企業も登場しています。

(3)事業内容

同社グループの事業構成は以下の通りです。大きく言えば①国内事業と②中国を中心とした海外事業に分けることができます。
出典:プラップジャパン2018年8月期 決算説明資料

①国内事業

売上高は約44億円と全体の65%程度を占めます。



プラップジャパンの売上高の1/4ほどは、2社の大口顧客が占めているのですが、契約上の守秘義務もあり、有価証券報告書では顧客名非開示(A社、B社)となっています。



ただ、過去の有価証券報告書、その他諸々の情報から、ある程度類推することはできます。大口顧客のうち1社は、おそらく、そのマーケティング能力に定評のある世界最大の消費財メーカーであるはずです。
出典:プラップジャパン2017年8月期決算説明資料

②海外事業
海外事業は売上の35%ほどを占めており、特に中国市場の売上が大半を占めています。

同社の中国事業は、基本的には中国進出を狙う日系企業向けのサービスが主体です。中国のメディアは共産党の統制下にあるといわれ、日本と異なる商習慣、いわゆる歴史問題等もあり、日本企業には難しい市場です。
そういったところを長年の中国事業で得られた知見をもとにサポートするといった内容のようです。


さて、ここまでで前編は終了となります。
長々とお付き合いいただきありがとうございました。

後編では、投資家の立場としての財務分析を行っていきたいと思います。


(参考書籍)

(参考サイト)
・新興市場の株式投資  http://invest.suisei.info/prap.html
・プラップジャパン(株)公式サイト http://www.prap.co.jp/ir/

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