トランコム(9058)が2023年3月期決算を発表しましたので、ざっくりと確認しました。
1.決算概況
売上高は+2.9%の増収、営業利益は▲6.9%の減益となりました。
以下は長期の業績推移となります。
2.事業動向
今期の業績動向をセグメント別に眺めてみます。
トランコムは、物流センターの運営構築(ロジスティックマネジメント事業)と輸送マッチングサービス(物流情報サービス事業)を主力事業としています。前者は減収減益、後者も増収ながら減益と、当年度はいずれも不調でした。
物流情報サービス事業では、配車支援AIシステムを導入し、マッチング精度の向上を図るといった面白い取組もありましたが、運送会社への支払運賃増もあって減益となったようです。
決算短信では、「燃料価格上昇による支払運賃増」と記載がありますが、昨年12月に公取委が公表した「優越的地位の乱用に関する調査(参考記事)」にて、下請け企業との取引内容の改善を強く求められたことも影響していそうです。
物流の2024年問題もあり、荷主企業との価格転嫁交渉をしっかり進めていただきたいところです。
その他、子会社のトランコムITSがアクセンチュアに対してシステム開発事業を譲渡したことで特益を計上する一方、数年前に買収をしたシンガポールの清掃会社で減損損失を計上していました。海外清掃会社の買収は「??」と思う投資でしたが、減損計上ということで「やっぱりな」という感想を持ちました。
3.まとめ
ここ数年の事業動向からは、業績の頭打ち感を感じてしまいますね。色々な種まきはしているようですので、うまく次の柱を見つけ出して欲しいものです。
また、昨年度に引き続き決算と同時にまとまった自社株買いの実施を公表しました。
連続増配と合わせて株主還元を進めていただけることは非常にありがたいです。
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