口コミに優る広告宣伝は無い?|ステップ(9795)

本日、JASDAQ上場の学習塾運営会社「ステップ(9795)」を1単元ほど購入しました。

ステップは神奈川県中西部を中心に学習塾『ステップ』を展開している企業です。
その強みと魅力は、ドミナント展開により各種のコスト、特に「広告宣伝費」を抑えられている点にあると思います。



学習塾を始めとする教育産業は、一人でも多くの生徒を獲得するため、積極的な広告宣伝活動を行うことで知られています。

業界のガリバー企業である「ベネッセ(9783)」を例にとりますと、年間売上高4,000億円に対し400億円の広告費(+DM費)を使っており、売上高に対する広告費等の比率は10%強(H21年度決算)と非常に高い水準となります。

ベネッセといえば「進研ゼミ」が有名であり、進研ゼミといえば、毎年子どものいる家庭に(謎の)漫画を送りつけてくることで有名です。子どもの頃は何気なく読んでいた方も、大人になって違う視点で見直すと、進研ゼミに対する印象が変わってきませんでしょうか。

その他の教育産業の企業を見ても、「東進ハイスクール」を運営するナガセ(9733)の売上高広告比率が10.01%、個別指導塾「TOMAS」を運営するリソー教育(4714)の売上高広告比率が9.23%、・・・というように、軒並み高水準の宣伝活動を行っていることがわかります。



これらの企業の中には、経常利益の額を上回る広告費を使用している企業も散見され、「生徒を募集するコスト」というのは学習塾にとり大きな負担であることが分かります。


そんな中、ステップの売上高に対する広告費比率を見ると、3.22%と他社に比べかなり抑制できていることが目に付くかと思います。
もちろん、生徒を募集するコストをケチった結果売上高が伸びないのでは意味がありませんが、ステップについては過去数年の間、継続して生徒数が増加し続けており、一株当たり利益額を5年間で1.5倍ほどに伸ばしている成長企業であるというのだからびっくりです。

この背景には、特定の地域に集中して学習塾を展開する結果、生徒や保護者の間での知名度が高まり、積極的な広告活動を行わずとも生徒が集まるような体制が出来上がっているのではなかろうかと思います。
(自分の子どもの頃を振り返って見ても、基本的に友達や兄弟が通っている塾に通う子どもが多かった気がします。)

ちなみに、学習塾業界の中でステップより売上高広告比率の低い企業は1社しかありません。その企業は兵庫県を地盤に学習塾をドミナント展開している「アップ(9630)」という企業です。このことから、特定の地域に集中して塾を展開するというのは、生徒募集のコストを下げるため有効な戦術っぽい気がしました。

 
ステップの予想PERは8.24倍、PBRは0.77倍、自己資本比率は70%とそれなりに割安ですし、利益率が高いことも魅力的だと思います。

 ※本記事は、旧ブログで2011年に作成した記事をBloggerへ移転したものです。

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